本書の内容と特長
技術士第二次・筆記試験(総合技術監理部門を除く)は、 2019年度から改正され「必須科目I」が「選択科目IIとIII」と共に論文記述式になりました。
すべての答案は、新規に「コンピテンシー」基準で評価・採点されると文部科学省から公表されました。これは従来の論述方法では、試験に合格することが難しい、ということです。
2024年度の新制度第6回目では、2023年度に継続して受験申込み案内書が配布された段階で、図表内の文字サイズが、答案の文章規定と共通でした。さらに出題形式が多様化された結果に基づき、本書の例題文と解答例を含め改訂および加筆しました。
本書の編さん目的は、次のような疑問や質問に応えるものです。
(ⅰ)技術士第二次・筆記試験を受験したいが、これまでに技術的な論文を全く書いた経験がないので、何から始めたらよいでしょうか?
(ⅱ)「キーワード(以下、KW)」って、よく分かりませんが何でしょうか?
(ⅲ)「コンピテンシー」とかで答案が採点評価されると聞いていますが、答案をどのように書けばよいのでしょうか? また、特別な勉強が必要ですか?
(ⅳ)「必須科目I」の「部門全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題」って、どのような出題であり、またどう書けばよいのですか?
(ⅴ)「必須科目I」の解答問題、「選択科目IIとIII」の解答設問(以下、設問)にて、それぞれ「専門知識と応用能力」とか、「問題解決能力と課題遂行能力」って問われているけれど、実際にはどのように書けばよいでしょうか?
これらを踏まえて、本編では今までに技術士筆記試験の記述式答案を全く書いた経験がない人を対象に、ゼロベースからの答案の作成方法について述べます。
技術士試験の技術部門では、それぞれの分野での独特な表現や出題傾向などがあります。紙面に全てを網羅する余裕がありませんので、包括的な視点で答案作成上の要領を、懇切丁寧にまとめたつもりです。
第1章では、技術士第二次・筆記試験で問われる概要について、「答案で解答すべきポイント」、「日頃から準備しておく項目」および「表現の工夫方法」について、KWとの関わりに触れます。
第2章では、KWを使用した箇条書きの語句や文節を作る練習から始めて、24文字×6行の小論文に発展させる練習方法を説明します。
第3章では、KWについて、説明、簡単な作り方、見える化で整理整頓、のそれぞれを事例と共に説明します。さらにKWの活用法を説明します。
第4章では、次の4種類の項目を述べます。(1)選択科目1枚答案:KWを使用した箇条書きからの答案作成例、答案作成例と改善例の計2例。(2)選択科目2枚答案:KWからの章立て作成例、答案作成例と改善例、の計2例。(3)選択科目3枚答案:KWからの章立て作成と答案作成例、答案作成例と改善例および答案作成例、の計4例。(4)必須科目3枚答案:KWからの章立て作成と答案作成例、および答案作成例の計5例。
第5章では、文章力の向上状態をチャートで見える化させ、ご自身で適宜確認できるようにするために考案した、筆者のオリジナル手法を紹介します。
第6章では、合格答案作成のポイントを18項目で説明します。
本編での説明文では「です、ます」調にて述べていますが、科学や技術の論文では「である」調で述べることが基本です。技術士第二次・筆記試験においても「である」調で述べてください。本編の解答例では「である」調で作成しています。
特に精読して頂きたい箇所に を付記しました。さらに巻末には、練習用として、「経験業務棚卸」、「特性要因図」、「TREE図」、「模擬答案用紙」、「文章作成フロー表」、「文章力のレーダーチャート」等を添付しました。練習の際には、是非ハードコピーして活用してください。
受験者の皆さまには、是非本編を参考にして、積極的に答案の作成練習をして頂きたいと思います。こつこつと練習回数を積み重ねることにより、答案の作成能力が向上し筆記試験の突破につながります。最後まで諦めずに努力して頂きたい、と願うものです。
2024年9月 大和田義明
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